#株式投資ノート

相場に関すること全般

WCPの上場に関する情報整理(7/9訂正)

WCP上場スケジュールは以下のようになっています。
証券申告書提出:7月7日
需要予測:8月1~2日
最終公募価格決定:8月4日
一般申請:8月8~9日
上場日:8月中旬

公募株式数は900万株で,新株発行が734万344株、既存株の売出しが165万9656株で,公募価格は8万~10万ウォンを予定しています(WSによる開示情報より)。現状の予定公募価格ベースでの時価総額は2兆7207億~3兆4010億ウォンで、一般公募は同月8~9日となっています。

KB証券・新韓金融投資が共同で主幹事を務めています。

WCPは2016年に設立され,2021年,世界の二次電池セパレータ市場でシェア4位(7.0%)となりました。サムスンSDI・LGエネルギーソリューションなどが顧客となっており,両社と取引を開始した2019年以降、急激な売上成長を収めています。

昨年の売上高は1854億ウォン、営業利益は408億ウォンで、前年比それぞれ65%、316%増加しています。

WCPは「テスラ特例上場要件」というものを利用してIPOを行うようです。これは,赤字企業でも、生産基盤の拡充などのための投資を続けるならば、上場資格を付与する制度とのことです。WCPは上場審査を請求した昨年は,純損失99億ウォンでした。公募調達資金(手元計算で5865億~7343億ウォン)も全額設備投資に使用する予定です。

今年から2023年までに1400億ウォンをかけて忠州工場内で生産/コーティング2ラインを増設し,2024年までに会社独自の資金(自社の現預金や借入を使用するんだろうと思います)を含め、7300億ウォンをかけて欧州で生産8ライン、コーティング16ライン規模の工場を新設し、下半期からヨーロッパ地域内の顧客に製品供給を開始するという戦略です。8700億ウォン必要となりますが,今回の公募調達資金プラス内部での営業CFと自己資本強化による借入余力で十分安い資金で行えると思いますし,WS自体が日本で公募増資する必要は生じないものと個人的には考えています。

これまで会社が開示していた設備投資の状況は以下の通りです(決算説明資料)。上記の計画を前提とすると,下記の<その他>の部分である欧州分の数字の具体化により,会社の成長計画についても上振れが期待でき,中期計画等でこの点の具体化がみられるのではないかと思います。

<WSK>
 新規コーティングライン4本(WSK13-16号)が8月以降順次稼働開始予定
 新工場を建設し、さらに4本のコーティングラインを増設予定(2024年稼働開始を見込む)
<WCP>
 新規コーティングライン2本(WCP7-8号)は2022年4Qから稼働開始予定
 新規製膜ライン累計16-17号は予定通り2023年中に設置予定(2024年稼働開始を見込む)
<その他>
 欧州新工場も予定通り2024年からの稼働開始を見込む

WCPは上場予備審査請求書で提示した価格より目標EVを下げ、IPO成功の確率を高めています。以前に提示した公募価格は8万3000~11万8000ウォン、当該公募価格ベースでの時価総額は3~4兆ウォンでしたが,これらを若干引下げています。IPO市場の萎縮が続いている点も影響を及ぼしているようです。

企業価値評価法としてはEV/EBITDAが採用されています。CompsはSKIET・エコプロビエム・ポスコケミカル・チョンボ・エルアンフ・コスモシン素材・Yunnan Energy New Material・Shenzhen Senior Technology Materialの計8銘柄です。Compsの今年1Qのマルチプルの平均45.85倍を適用し、1株当たり評価額14万3739ウォン(時価総額約4.9兆ウォン)を導きだしています。ここに割引率30.4~44.3%を反映し、希望公募価格を上記の通り8万~10万ウォンとしています。割引率はテスラ要件でIPOに成功した企業の平均割引率(22.4~37.1%)より幅を広げており,上場後の価格形成のハードルを下げている格好になります。

崔社長は「Kosdaq上場を通じ,技術力と生産能力をさらに強化し、グローバル市場進出をさらに加速し,二次電池用セパレータの開発・生産競争力をもとに、未来環境にやさしい自動車産業を先導する企業に跳躍していく」と話しています。

なお,今回,Put Back Optionが追加されてます。これは、上場後、企業株価が公募価格の90%以下に落ちれば、投資家が保有した公募株を主幹事に買い戻させるプットオプションです。テスラ要件を活用する企業は、これを義務的に提示しなければならないとのことです。これにより,下値目途ができることで公募割れによる投資損失が限定され,投資家が集まることができるという仕組みです。

さらに,ちょっと希薄化の程度について,正確に整理したいと思います。WSの最新の有報によるとWSのWCPの株式保有比率は46.02%です。現状のWCPの発行済み株式総数がわからなかったのですが,今回SBIのレポートとWSの開示から推測することができそうです。SBIのレポートによると上場時の発行済み株式総数は34,009,698株となることが判明しており,WSの最新の開示によると新株発行は7,340,344株となり,新株発行前の発行済み株式総数は手元計算で26,669,354株となります。これの46.02%がWSが保有しているWCPの株式であることから,WSが保有しているWCPの株式数は12,273,236株となります。これを分子にして分母を新株も含めた上場後の発行済み株式総数として割ると,希薄化後のWSの持ち分割合は36.09%となります。なおこれは,WSは売出しを行わないと仮定した計算です。

そうするとWCPの公募株価ベースの時価総額に対してWSが保有している「株券」の時価は,円換算で982億~1228億円相当となります。また,この時価総額はディスカウントされているものとなり,上場後に期待される時価(4.9兆ウォン)に対するもので計算すると,円換算で1764億円相当となります。