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Sosei Heptares / Verily 免疫疾患向け新薬候補の共同研究で提携

各社リリース
そーせいグループ(2022/01/06)

https://ssl4.eir-parts.net/doc/4565/announcement/74960/00.pdf
Sosei Heptares Official Blog : Verily社と戦略的提携を締結しました
Verily(2022/01/06)

Sosei Heptares and Verily will collaborate to generate novel drug candidates against GPCR targets for immune-mediated diseases | Verily Life Sciences

医薬品開発企業のそーせいグループ傘下のSosei Heptaresが,Googleが創設したVerily(Alphabetの一部門)と免疫疾患向け新薬候補の共同研究で提携することがリリースされました。Verilyのコンピューター解析技術を生かし、創薬の初期段階にあたる新薬候補の選定を効率化し、新薬開発までの期間短縮を狙うとのことです。機能未知の新たなGPCRターゲット探索には基礎研究の積み重ねが必要で、Sosei Heptaresだけでは難しく,今回のアライアンスで新たなターゲット探索が進むと期待されます。

この共同研究の目的:
・免疫細胞における GPCR生物学、特に免疫学、消化器病学、免疫腫瘍学、その他免疫保護または免疫病原性メカニズムを持つ疾患の分野での理解を深める
創薬ターゲットとして有望なGPCRターゲットの優先順位付けと妥当性確認
・これらのターゲットを調節する新規薬剤候補の発見

ヒトの免疫機能の詳細は未解明な部分が非常に大きいのですが、免疫細胞は外部からのシグナルをキャッチすることで、単独ではなく周囲の免疫細胞と協力して行動したり、がん細胞などの異物などを見分けたりします。Sosei Heptaresが創薬のターゲットとしているGPCR(Gタンパク質共役受容体)は、体の中でそのようなシグナル伝達を担っているため、実際にCCR6 拮抗薬(ファイザーに導出)やGPR35 作動薬(GSKに導出)など既に多くの免疫関連の開発品があり、今回の戦略的提携を通じてより探索を深めていくとされています。

免疫機能を解明し、GPCRを通じてそこへアプローチを行うことは、直接的な免疫疾患はもちろん、がんや消化器疾患など免疫と密接に関連するアンメットニーズの高い疾患分野に対して革新的な薬を生み出す可能性を秘めたものです。ちなみに,がん分野で免疫に焦点を当てたオブジーボやキイトルーダは治療体系に革新を起こし、足元では2剤だけで合計3兆円という巨大な市場を瞬時に形成しています。

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/4565/tdnet/2063844/00.pdf

今回の戦略的提携は,Verily独自のImmune Profilerプラットフォーム(高解像度分子表現型解析と高度なコンピュータ解析技術を組み合わせ、免疫系機能に関する洞察を得るための次世代免疫マッピング・プラットフォーム)と、Sosei Heptaresの世界最先端のStaR(安定化受容体)プラットフォームおよび構造ベースドラッグデザイン能力を組み合わせたものです。免疫細胞の機能を調節し、疾患の病態を改善するための新たな機会をもたらすGPCR標的の同定に使用されます。対象になり得るGPCRは体内に約400種類あるとされ、従来はどれを狙うのが効果的か割り出すのが難しかった分野です。VerilyのImmune Profilerには膨大なヒト(健康な場合、疾患がある場合等)の免疫細胞での、遺伝子発現プロファイル(どの遺伝子がどれだけ発現しているか/していないか)やエピジェネティック(実際のタンパクの発現量や修飾等)のデータが蓄積されており、その中には多くのGPCRに関連するデータが含まれています。これらをAIやディープラーニングを用いて解析することで、様々な免疫機能とGPCRの結びつきを解明し、創薬ターゲットとして有望な多数のGPCRを抽出し、その中での優先順位付けを行っていきます。なお、選ばれるのは主に、これまでに疾患との結びつきが解明されていないGPCRであるため、そのほとんどがファーストインクラスの治療薬の候補になります。

今回の提携は戦略的提携という位置づけで、契約一時金など短期の収入はありませんが、先進的な技術を融合して革新的な創薬を行い、将来的に大手企業へのライセンスなどを行うことを目指すものです。対等なパートナーとして権利を共有するため,仮に将来の収益が上がった場合には両者の間で50:50の割合で折半される予定となっています。今回の創薬ターゲットの具体的な数は開示できないとのことですが、非常に膨大なデータを用いて,大きな創薬分野をターゲットとしており、これまでの戦略的提携よりも一桁大きい規模とされています。Verilyによる戦略的提携は、ハイテク企業としては,初の創薬パートナーシップです(ここ数年、多くの大手製薬会社がVerilyと提携し、デジタルプラットフォームを利用して臨床試験の効率化と加速を図っていましたが、同社はこれまで創薬の取り組みを明らかにしてきませんでした。)。

Matt Barnes(そーせいグループ 創薬部門ヴァイス・プレジデント):我々は、発展性があり大変楽しみな本プロジェクトで Verily 社と提携できることを喜ばしく思います。本プロジェクトでは、免疫細胞に発現する GPCR を同定し、その機能的関連性に対する理解を深め、免疫疾患における創薬ターゲットとなり得る物質を探索することを目指します。免疫疾患領域は、当社グループが注力している重要な分野であり、本新規提携は、世界中の免疫疾患の患者さまに大きな影響を与える新薬創出のために、主要な GPCR をターゲットとして特定するためのスキルと専門知識を有する両社が、世界トップレベルのテクノロジーとチームを結集するものです。」

Jessica Mega(Verily チーフ・メディカル&サイエンティフィック・オフィサー,共同創業者):我々は、Sosei Heptares が、創薬標的として極めて重要な膜タンパク質ファミリーの一つである GPCR をターゲットとする創薬研究のリーダーであると認識しています。本提携では、データに基づく新薬ターゲットの優先順位付けにおける我々の専門知識と GPCR をターゲットとする医薬品開発における Sosei Heptares の専門知識が融合することで、免疫疾患の患者さまに対する将来の治療オプションの開発を加速できると考えています。

そーせいグループによる整理

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※Verilyはグーグルの持つ巨大なデータベース、データ収集能力、演算能力などを活用しつつ、トップレベルの製薬企業や医療機器企業との提携によって、ヘルスケアのあらゆる部分を改善するためのサービスを生み出そうとしています。未解決の医学的疑問を探るための一連の生物学的データマッピングと強力な計算ツールを構築することで,ライフサイエンス分野を変革できると期待されています。昨年6月には、米国食品医薬品局(FDA)の主席副長官で最高情報責任者(CIO)代理のAmy Abernethyが、FDAを退職して同社のチームに参加しました。

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https://cbi-society.org/home/documents/seminar/2017to20/CBI391_Sawada.pdf

※Sosei Heptaresは、GPCRに注力しており、この分野に特化した独自のStaRプラットフォームと構造ベース創薬能力を有しています。同社は,ノバルティスにライセンスされ2014年に発売されたウルティブロを含む慢性閉塞性肺疾患および喘息治療薬でよく知られています(現在約4000万ドルという年間売上)。自社パイプラインおよび製薬会社との提携により、多数の前臨床および臨床候補化合物を有しており、その中でも最も進んでいるのがアストラゼネカが開発中の転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象としたフェーズII開発中のA2a 拮抗薬 Imaradenant(AZD4635)でしたが,11 月にはアストラゼネカ社の臨床パイプラインから外れました。ただし,仮に返還されても新たな提携先を確保できる見通しとのことです。また,2021年1月に,ムスカリン作動薬プログラムのグローバルな研究開発権・販売権がアッヴィより返還されましたが、11 月にはNeurocrine Biosciencesに再導出しました。1億米ドルの契約一時金と最大 26 億米ドルの開発・販売マイルストンは見かけ上2016 年のアラガン(現アッヴィ)との契約に及びませんが、実質的に受領できる確度を考慮するとずっと良い条件になっており,また,ロイヤリティ率もアラガンとの場合を上回っているとのことです。Neurocrine Biosciencesは、統合失調症認知症、その他の精神神経疾患に対するムスカリン受容体作動薬の権利を得るために、1億ドルの契約一時金と最大26億ドルのマイルストーンを支払うことになっています。

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https://ssl4.eir-parts.net/doc/4565/announcement/74960/00.pdf

https://soseiheptares.com/uploads/financial_presentations/2021/2021.11.22%20Muscarinic%20Collaboration%20Presentation%20JP.pdf