#株式投資ノート

相場に関すること全般

インドアゴルフ事業の可能性

現在,国内には約800万人のゴルファーがいます。また,東京都の人口100人あたりのゴルフ人口は10人です(社会生活基本調査(2016年))。現在の東京都の人口は、推計で1400万人であるため、そのうち約140 万人は、東京都にいるゴルファーであると推定できます(どの程度がアクティブかは定義次第であり決められませんが)。ゴルフ練習場の市場規模は,年1250億円と推定されており,ここ10年はほぼ横ばいで推移しています(ゴルフ産業白書)。ほとんどは昔ながらのアウトドア練習場や単純なインドアゴルフ練習場であり,レガシーな設備で運営している既存の事業者を,新規参入組が倒しやすい構造となっています。 東京都内には、ゴルフ練習場、スタジオは200程度ありますが、そのほとんどはアウトドア練習場であり、そもそもインドア練習場は、1割程度しか存在していません。さらに個室型となると件数は大幅に減ります。 

ちなみに,ゴルフマーケットはコロナ禍においても大きな影響を受けなかった数少ない産業の一つであり,特に2020年のゴルフ練習場の売上は前年比116%(経済産業省特定サービス産業動態統計調査)となったほか,コロナ禍で一気に60万人もの若年層ゴルファー(矢野経済研究所 コロナ参入・リタイアゴルファー実態調査 2021)を新たに創出しており,活況となっています。若年層を中心とした新規ゴルファーが増加する一方、それまでの主力顧客であった 60代、70代のゴルファーは、コロナによる重症化リスクが高いとされ外出を控えたことで,顧客層の顔ぶれが大きく若返っています。 アフターコロナにおいては若年層の初中級者に,シニアの復活組が合わさって活況になると想定されます。また,若年化により独身の女性の参加も期待できます。

最近のゴルフ市場のトレンドは,「練習の質を上げる」「練習を仲間と楽しむ」「子どもたちが安心して楽しめる場にする」「地域のコミュニティハブとする」等,来場動機の多様化が発生しており,特に練習場は下記の変化が起こっているようです。
①非接触スタッフの接客時間が減ったことにより、打席の清掃・消毒の徹底、スタッフの時短勤務などの生産性向上に寄与
②トイレや更衣室のリフレッシュ:女性層や新規客層の取込みを図るべく、トイレや更衣室のリフレッシュが進む
② トレーシングシステムの導入 :打球の弾道表示と距離表示が可能なシステムが全国100施設弱の練習場で導入

新規インドアゴルフ事業者の具体的なターゲットユーザーは,年収の高い顧客(800万円以上)でかつ、人口の多いエリアで利便性の良い環境で継続的にゴルフを練習したい方で,感染リスクを下げたい人達がターゲットになります。ペルソナとしては,年収の高さから普段忙しいので,平日の夜や朝でも練習できるような近隣のエリアでの練習場を探している人がニーズになると思います。また,隙間時間にできるよう,手ぶらでできることも必須となります。また,手取り足取り教えてもらう必要のない中級者もターゲットにしやすいです。暑さ寒さを避けたいという点も,インドアゴルフ事業者にとっての訴求ポイントでしょう。また,女性は4割程度と推測されます。男性には女性コーチ,女性には男性コーチを当てるのが良いと考えられます。

各社,高精度なシミュレーターを導入することでの差別化に今目が行っているが,実はiPad+外付けカメラ2個(正面及び後ろの2地点)で十分と考えられます。シミュレーターは,パター・ラウンド・練習モードの全てを1台のシミュレーターで実現できるような一式数百万の物がある一方,スイングチェック・軌道解析用の70万程度まであります。現状は高級志向が進んでおり(韓国製が多い),新規参入組各社,こぞってそういったものを導入して他社にはない独自性を追求しようとしています。しかし,それ自体がもう過当競争のコモディティ化モデルであると思われます

これから必要になるのは,やはり人とのつながりであると考えられます。一つには,パーソナルトレーニングのアプローチです。もう一つは,グループによるラウンドレッスンです。以下仮説を詳述します。

パーソナルトレーニングは,トレーニングメニューの考案とフィードバックのコーチングから構成されます。スイングのチェックは補助的なものであり,基礎トレができていないのにその場でもっと肩をとか腰をとかハンドファーストとか言われてもそんなにうまくならないと思われます。また,ゴルファー向けの体幹レーニングがかなり重要ではないかと思われます。メニューの考案とコーチングは別のスキルと考え,本部にてレッスンメニューを作ることが望ましいと考えられます。コーチングは細かいスイングの指導ができるような人より,スコアメイクのある程度できるゴルフ上級者であれば十分で,それよりもとにかく接客のできる人間を充てるべきです。そして,指導に関しては,リモートで十分であり,上記のiPadと連携してリモートでコーチの手元に動画がリアルタイムで共有され,ポイントの指導ができれば十分です。また,通常6人程度を同時に見る形が多いかと思いますが,順々にレッスン生にポイントの指導をしていく形が想定されます。もちろん現地でもOKです。〇〇さん,〇〇さん,と呼び合う関係性という感じで,コーチとの人的交流が深まることがリテンションにつながります。

基本的なスイングができれば早期にラウンドに出ることが重要です。どんな競技でもそうですが,実戦形式でこそうまくなります。そこで課題を見つけてフィードバックループを回すことで主体的に上達に励むことができます。究極的には,自分でうまくなれることが重要です。また,ラウンドレッスンには,普段リモートで指導しているコーチと交流ができます。朝コーチがピックアップして,午前中ポイント練習して,ハーフ回って,昼にビール飲んで交流して,コーチの送迎で帰る,午後は提携のサウナにでも案内すればものすごく充実した休日になると思いませんか?(笑)

ゴルフ練習場は,家の近くにない,ラウンド可能な機械がないか少ない,予約が取りづらい,クラブ、 グローブ、玉数に応じた料金がかかり以外に料金が高い,夏は暑く冬は寒い他、天候の悪い日は練習できないなどのデメリットがあり,住宅地やターミナル駅の近くに通い放題の安いインドアの店舗がある方が優位性が高まります。当然屋外でかっ飛ばす方が練習になるかもしれませんが,それは月1程度で十分でしょう。時間がもったいないです。

価格については,インドア練習場は,高級・個室だと,月数万円となります。おそらくそれだと体験から入会までのコンバージョンがせいぜい5-6割ではないかと思われます。思いっきりハードルを下げて月9000円,コンバージョンレート8割を目指すべきです。体験に来てもらうために,時間限定の5000円程度のリーズナブルなプランも用意します。

性能的には,6打席がマックスとされますが,8ブース程度を確保します。また,機器は汎用デバイスiPad)で構築し,店舗初期コストを落とします。ただし,無人の時間帯も多くなるのでセキュリティや保険をどうするかが課題です。個室がブームになっていますが,それに対してはプライベート感はなくなりますが,そういうところではなく,「人とのつながり」を重視する方向が良いはずです。一緒にラウンドする仲間ができたり,コーチと人間的なつながりができたり,共通の趣味を持つ友人ができたりする点が, 他社にはない独自のゴルファー向けパーソナルトレーニングサービスにより上級者の痒いところに手が届くサービスを提供できるレッスンプロと顧客をマッチングさせるサービスを取り入れていく点で、サービス面の手厚さが備われば競争優位となります。

立地は乗降者数,検索数,平均収入,駅徒歩等を考慮要素とします。これについては,駅徒歩5分以内はまずmustです。また,通行人の目につくように,外に大きい看板を設置できることが物件条件としては必須となります。天井高も3m程度ほしいところです。広さは8ブースなら50坪程度は欲しいところです。女性も半数くらい来ることが想定されるので,更衣室は必須です。もちろんトイレも必須ですね。

そして月額のサブスクモデル,さらに,複数ブースにすることで会員キャパシティを確保できるため、 結果として固定収入で,限界利益率は高くなり,安定性が非常に高いビジネスモデルとなります。上記の性能面、価格面のメリットと、立地戦略に加え,コストでの店舗運営モデルの構築が破壊的イノベーションとなります。その結果,顧客のゴルフ練習に関する利便性の向上,ゴルフを通じたコミュニティの創出が実現できます。コロナでバラバラになったのはビジネスだけではなく,人間関係もです。事業再構築に加え,コミュニティの再構築がセットでなされることで,真に価値のあるアフターコロナの世界に我々が進むことができます。

キャパシティの観点からは,8打席くらいまで増やすことが理想ではないかと考えられます。なお,1ブースは左利き用を確保しておく必要があります。採算性に関しては,1店舗当たり60坪程度で,400人,1人当たりの平均単価を月9000円として,月360万円の固定収入を確保します。また,ラウンドレッスンは月20人程度をこなし,1回4万円として月80万円を確保することは現実的な線ではないでしょうか。これで合計月440万円の売上を確保します。月の運営コストはほぼ固定費で150万円見ておけば十分でしょう(特に毎日の設備のメンテナンスや掃除が欠かせません)。とすると月300万の営業利益が確保できる状態が,1年以内には訪れると考えられます。さらに会員400名で1000万円の入会金を確保します(@25000円)。開業コストは・店舗初期費用(1店舗)は2000万円(iPad,カメラ,MacBook,内装工事,ネットの設置,その他初期費用)とその他初年度の立ち上げコストで1500万円(システム関連(ソフトウェア,予約システム,自動ロック,メンテナンス)150万円,専門家経費 400万円,広告費500万円,外注費400万円,研修費50万円)と想定します。さらに,数か月で黒字化はすると思いますが,賃料や人件費等の初期の運転資金3か月分プラスアルファで500万も,あるとよいでしょう。そうすると初期投資額は合計4000万といったところでしょうか。

初期投資の4000万円は,入会金で1000万円がカバーされ,残りは1年分の営業利益で十分カバーできると考えられます(半年で月営業利益300万円の状態には到達するでしょう。そうすると投資回収は1年から1年半と想定されます)。

早晩,FCモデルを構築する会社が出てくることにより,今後上場してくるような急成長企業の出現を期待できると思います。海外ですが,もしかすると日本だとZenGolf,海外だとPelotonあたりはそういうことを考えているかもしれませんね。