#株式投資ノート

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アクティヴィストファンドのビヘイビアについて

アクティヴィストファンドのストラテジックキャピタルによる,淺沼組への株主提案の内容を見ての雑感を書きたいと思います。

 

こちら,ストラテジックキャピタルの淺沼組に対する株主提案に関するページです。

stracap.jp

 

株主提案においては,配当金額を一株498円に引き上げるように提案しています。
ファンドからの提案ベースでは,権利付き最終日付近の株価を基準にすると配当利回り10%弱です。

 

ただ本リリースが4月28日ですが株価は動いていません。権利落ち後だから関係ないという話かもしれませんが,提案内容からすると,もし当該提案が一度可決されると数年はその配当性向が続くと解されるロジックなので,これを材料視される可能性もあると考えられますが株価は反応していないので,本議案は過去と同様否決される可能性が高いと市場が考えたいうことだと当方では解釈します。

 

なお,最新の株価は権利付き最終日付近から500円程度落ちているので,仮に可決となっても,持っていても妙味はなかったということがいえると思います。

 

一定の期間配当性向(純利益の何%を配当するか)を100%に引き上げる提案内容ですが,事例としては,もっとえぐいものが過去にありました。

 

 6月に開かれた小野薬品の株主総会で「通常配当と併せて1株当たり700円の追加配当」を求める米投資顧問会社ブランデス・インベストメント・パートナーズの株主提案が否決された。3600億円余にも上る小野薬品の任意積立金が過大であるとして追加配当を求めるブランデスの株主提案の成り行きは、製薬業界のみならず多くの企業関係者の注目を集めた。

www.yakuji.co.jp

 

さて,淺沼組の件ですが,私は個人的には建設業は
・シクリカル
・キャッシュサイクル
・常に競争に晒されており営業利益率が低い
・個々の工事のリスク
などの特徴から,無借金以上のネットキャッシュで経営することに合理性があるという考えを持っています。ですので最近のファンドの建設業を食い物にするROEの風潮には反対の考えです。

 

対してファンドのロジックは非常に浅いものです。

・キャッシュ及びキャッシュライクアイテム:現預金約134億円、投資有価証券約60億円
・デット:有利子負債は約111億円
・ネットキャッシュが余っているわけだから,最新期の純利益相当の40億円を株主に配当しろ

という提案です。しかも1回通ればそれを数年続けさせる可能性があります。

 

いくらでも合理的反論の余地があるのですが,一つの反論として,実際には未収金/未払金と手形や潜在的な工事のリスクを織り込んで必要な運転資本を決定しなければいけないところ,非常に雑な議論をファンドは展開しているという反論が可能です。

 

企業のことを真剣に考えていませんね。

 

さらに,政策保有株式をすべて売却しろという提案をしています。これは少し考えてみていただければわかると思いますが,「政策保有」という趣意は,デベロッパーやサブコンとの関係値のために保有している株も多々あるわけです。取引先の株を無慈悲に市場で売却するということは,当該取引先にとってはショックなわけであり,ビジネスを一定程度回復困難に棄損すると思います。ゼネコンはコモディティ化している技術・サービスであり,置き換えが利く業種です。そんな利己的で無礼なことをすればすぐに切られ,さらに出入り禁止などの報復を受けるリスクがあります。

 

最近,このようにアクティヴィストファンドが建設業界をターゲットにしている状況があります(大豊建設西松建設など)。

 

会社は,株主だけがステークホルダーではなく,会社の財産は,自社の将来,自社の社員,取引先,顧客全ての引当財産です。こんな浅いロジックで人の財布に手を突っ込むなという話ですね。