k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

間然することなきロジックとは(法的論証)

学説の争いを上げて反対説を否定すべきだから自説を採用すべきというのはロジックとしては不可です。

AとBという見解がある場合,BでないからAということには必ずしもなりません。Cという可能性もあるからです。それよりも,αの論理的帰結としてA,あるいはα2の論拠からAが妥当らしいという,自律的連関がある方が筋が良いと考えます。

※論理的にAかBしかなく,Bが妥当でないからAしかないというような間然することなきロジックはアリですが,おそらくそのようなロジックは現実的にも法律の分野でもかなり頻度は少ないかわかりきっていることを回りくどく説明しているだけになると思われます。

 

刑法の構成要件としての因果関係を例に考えてみましょう。

 

「刑法上の構成要件としての因果関係の考え方には,条件説,相当因果関係説があり,条件説では因果関係の認められる範囲が広すぎて妥当でなく,したがって相当因果関係説が妥当である,また,相当因果関係説の中には主観説と客観説があるところ,行為者の属性により因果関係の有無が変わるのはおかしいから客観説が妥当である。」

 

という論証。学説の争いを前提に論じているが私は論理的でないと感じます。学説の対立に関する所与の前提が多すぎ,この論証の中でロジックが完結しないオープンスペースが大きく,前提概念の導入が多すぎるからです。

 

それよりもむしろ,

 

「刑法上の構成要件としての因果関係は,『あれなければこれなし』という関係があるだけでこれを認めることはできない。異常な因果経過を辿っても因果関係が認められてしまい妥当でないからである。あれなければこれなしという関係に加えて,相当な因果経過を辿ったものに限ると解すべきである。その相当因果関係の判断は,行為と結果との間に介在している事情の寄与度と異常性を勘案して決すべきである。」

 

この方がロジックがクローズドで説得力があると考えられます。

 

Not A but Bではなく,β therefore Bを心がけましょう。

 

「完全に間然することなきロジック」は現実にはあり得ないのですが,学説ではなく常識に立脚した論理を,また,行ったり来たりしないシンプルですっと入る論理を目指したいものです。実社会でも必ず役に立ちます。