k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

バイアウト・ファンド論④ リスク論①

ファンドは投資行為である以上,投資した対象企業がすべて順調な成長を遂げることは難しく,不測の事態により予定した収益を上げられないことがある。そういったリスクに加え,事業遂行上での社会的な責任を果たせなかったことによって信頼を失うといったリスクも想定され,極端な場合,損害賠償を負うリスクもある。ファンドが抱えるリスクには,具体的に次のようなものがある。

 

 

マクロ環境・政治情勢の変化リスク

 

投資事業有限責任組合に関する法律,会計規制,税務上の規制は,状況に応じて変化するため,組合の持ち分価値に変動が及ぶ可能性がある。

ファンドを組成した後に,このような状況が変化することにより,予定どおりの期待利回りを達成できないリスクがある。

 

 

投資対象企業の信用リスク

 

投資対象の企業は,当初は安定的な事業を営んでいても,業績不振,経営不安,期中に融資などの債務の返済が不可能になる,あるいは金利の上昇などによって債務が膨らむなどの事情により,倒産する可能性などがある。

 

 

利益分配・投資の回収のタイミングが不確定

 

ファンドからの投資に対する利益配分や回収がなされるタイミングについては,確固たる保証はない。

 

投資の回収については,当該企業の株式を買収する相手ができてはじめて実現できるもので,そのタイミングは,当該企業の成長とは別個に決定されるため,投資回収のタイミングが不確定である。

 

 

出資持ち分,投資対象証券の非流動性リスク

 

投資対象企業は主として未上場であるため,イグジットに関しては市場が存在せず,流動性が低いリスクがある。

 

 

投資対象の集中(大型案件)

 

投資案件の平均投資額については,あらかじめ基準を設けるものの,実際に出てきた案件が投資規模の大きいものである場合には,1件の投資金額がファンドの投資ポートフォリオに占める割合が大きくなり,ファンドの成績に大きな影響を与えることになる。

  

 

GPの主要メンバーの交代リスク

 

多くのファンドは,その運用実績をGPの主要メンバーの案件組成力に依存しているケースが多いが,その当事者である主要メンバーの交代又は不在により,当初期待した案件の発掘や投資方針の実行ができない可能性がある。

 

 

GPとLPの利益相反リスク

 

GPは,投資の予定利回りを超えた収益を実現できた場合には,成功報酬を得ることになる。しかしこの成功報酬は,投資利回りの資金の一部から充当されることから,LPにとっては利益の減額となる。成功報酬の利率を決定する場合には,GPとLPの利害を調整する必要がある。