k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

バイアウト・ファンド論③ ソーシング論②

ファンドが投資対象となる案件を開拓するルート分類について考えてみたいと思います。


1. 個人的ネットワーク

GPの個人的ネットワーク。例えば取引のあった企業の創業者や社長や財務担当者に対してコンタクトを取るケース。

ファンドが独立系であれば,役職員の個人的ネットワークが案件発掘の鍵を握る。独立系ファンドとは,いわばベンチャーであり,企業としての取引関係の蓄積はない。しかし,過去に携わった仕事で固い信頼関係が構築されている人とは,立場が変わっても,また取引内容が変わっても,信頼関係を頼りにコンタクトがなされる。

豊富な人的ネットワークを有する個人が集まったファンドであれば,杓子定規にプレゼンテーション挨拶を大量に実施する必要はない。

ファンドが大企業のグループ会社である場合,当該ファンドの親会社や取引のある金融機関などの情報網から投資対象企業が発掘される。


2. プルマーケ

評判が紹介を生む。投資収益実績のあるファンドには,案件が来るものであり,年間数百件程度の案件の紹介を受けることも珍しくない。それだけの案件に触れることができれば,良い企業に巡り合う可能性も高くなるであろう。

案件を引き寄せるためには,有言実行,つまり「言ったことを実行し,実行できることを言う」ということである。投資をするか否かの判断が早く,その判断を対象企業に明確に伝え,そして,自らの判断に忠実であることを意味している。

通常,話が進むと十中八九,M&A実施には懸念材料となる対象企業の事情が浮き彫りになってくる。実は,当初の想定とは異なるリスクが明らかになってくるそのときが,ファンドの誠実さが試されるとき。

当初の想定とは異なるリスクは,対象企業にとって改善が必要な事柄のはず。投資を行うのであれば,その事情を「投資課題」として投資期間中に経営者とともに解決するべき事柄なのである。もしそれができないのであれば,その場で投資をしない理由を明確に伝え,必要以上の情報を収集しないのがマナー。

情報をとるために内部情報を開示させた揚げ句,納得のいく説明もせずに投資をしないというのは,無責任極まりない。「有言実行」のファンドとそうでないファンドの差が表れてくる。自己の利益本位で情報を収集してはならない。


3. プロモーション

人的ネットワークを駆使する案件開拓以外にも,メディアを通じたキャンペーンを行うファンドもある。

海外ではバイアウトに関する業界誌が存在し,そのような雑誌を通じて,ファンドをアピールすることもある。

 

例えば,米国の「PRIVATE EQUITY INTERNATIONAL」という雑誌は,ファンドをアピールするための格好のメディアとなっている。

Private Equity International