k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

バフェットの経営哲学② 戦略の首尾一貫性/経営指標

本稿では,株主の役割と経営者がどう企業を経営し,どう株主に接するべきか,バークシャー・ハサウェイのケースをベースにして考察している。第2回。

 

 

戦略の首尾一貫性

 

ターゲットとなる投資家の自己選択により自社の株主になってもらうためには,彼らの判断をサポートする十分な材料を提供しなければならない。そこで重要となるのが,投資家から見た企業行動が首尾一貫しているかどうか,ということである。経営戦略と財務戦略の首尾一貫性がポイントとなる。

 

例えば,経営戦略は長期的な視点に立っているにもかかわらず,財務戦略が短期的なROE改善を重視していると投資家に判断されれば,経営戦略と財務戦略との一貫性が欠けてしまうことになる。これでは,短期的な経営を行う企業と判断して株主となる短期的な投資家が混在することになる。

 

実際,日本企業の最近の財務戦略を見る限り,短期的と判断されかねないケースが少なくない。

 

 

経営指標

 

企業が自ら設定する業績指標の目標を達成できているかどうかは投資家にとっては経営状況を判断するうえで有効な情報となる。ROEやEPSなどさまざまな財務指標が業績指標の目標として設定されるが,バフェットが目標設定において考慮しているのは,長期的な経営指標を業績指標として選定することである。バフェットは,一株当たりの内在価値の平均年間成長率を指標としている(この点の内容説明は他日を期したい)。これにより,長期的にキャッシュフローを改善することが経営上優先されることが投資家には理解できる。よって,長期投資家にとってはバークシャー・ハサウェイが投資対象の一社となる。

 

指標は事前に設定し変更しない,という点も重要である。これにより,業績という矢が刺さった場所を確認した後に,その周辺に標的を描こうとする衝動を抑えることができる。業績が悪化すると,多くの経営者は指標を捨てることを望む。目標として設定する業績指標は,長期的に企業価値を創造するためのカギとなるものでなければならないため,状況によって指標を変更することは不適切であり,一度選んだ指標は一貫して使い続けなればならない。

 

バフェットは,「株主の手紙」の最初のページに一株当たりの純資産(内在価値の算出は困難なため純資産で代用)とS&P500指数(配当含む)の年間変動率の時系列データを示しており,彼の業績指標実現への高いコミットメントが表れている。