k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

預金封鎖(偏見に満ちた考察)

 

 

債務残高の国際比較(対GDP比)

各国政府債務残高GDP

www.mof.go.jp

 

 

国の借金の問題

 

繰り返された財政出動と、少子高齢化の進展による社会保障費の増大で「国の借金」は再び急増。現在1307兆円のところまで来ています。

日本の政府債務残高の推移 - 世界経済のネタ帳

 

政府負債額(GDP比)ギリシャ172%、日本240.3%。

 

たくさんの国債・公債が国内で発行・消化できるのは、預金がいわば担保としてあるから。つまり、何かあったら預金に手を付けるということです。預金は絶対ではないということを知っておくべきということではないでしょうか。

 

 

今日は預金封鎖について。つたない理解も多いかもしれませんが,経済の専門家でもない,いち意見としてお許しください。

 

 

預金封鎖(よきんふうさ)とは

 

銀行預金などの金融資産の引き出しを制限することをいいます。

 

金融機関について経営危機説が流れた場合,多くの預金者が預金を引き出そうとし,取り付け騒ぎになる場合があるため,経営健全と評価されるまで一時的に金融資産の引き出しを制限することがあります。

 

これが政府の場合はどうでしょうか。政府において財政が破綻寸前になった場合,銀行預金などの国民の資産を把握して,資産に対して税金を掛けて政府収入にあてることで、破綻から免れようとすることが歴史上幾度もありました。また市場に出回った通貨の流通量を制限し,インフレを金融政策で押さえる方法として実施される場合があります。

 

 

事例

  • 1933年 アメリカ合衆国 バンクホリデー
  • 1944年 日本 日本国債の発行残高が国内総生産の2倍に達したために償還が不可能となったと判断され,預金封鎖が財産税の新設と共に実施された。

  • 1946年 日本 第二次世界大戦後のインフレの中,預金封鎖と新円切替が同時に実施された。この封鎖は封鎖預金と呼ばれ、第一封鎖預金と第二封鎖預金に分けられ、引き出しが完全にできなくなるのではなく、預金者による引き出し通貨量の制限や給与の一部が強制的に預金させられるなど、利用条件が設けられた。封鎖預金からの新円での引き出し可能な月額は、世帯主で300円、世帯員は1人各100円であった。1946年の国家公務員大卒初任給が540円であり、それを元に現在の貨幣価値に換算すると、世帯主が約12万〜15万、世帯員が1人各4万弱まで引き出せる。学校の授業料は旧円での支払いが認められていたが、生活費には新円を使うこととなった。最終的に第二封鎖預金は切り捨てられる形となった。

  • 1990年 ブラジル 一定額を超える銀行預金の封鎖措置(コロールプラン)
  • 2001年 アルゼンチン 国内の銀行業務の停止措置
  • 2002年 ウルグアイ 国内の銀行業務の停止措置
  • 2013年 キプロス 預金への課税処置のため預金封鎖とともに、インターネット上での資金移動も制限された

ギリシャの銀行各行が,取り付け騒ぎが起こり,銀行の連鎖倒産が起こることを恐れ,銀行残高が109万円以上ある預金者に対し,それを超える部分について貯金の30%を強制的に押収することを検討している,との報道も少し前にありました。

http://markethack.net/archives/51972058.html

 

2015年2月、NHKにて「『預金封鎖』もうひとつのねらい」という特集が組まれ、預金封鎖が実施された当時の大蔵大臣である渋沢敬三による「国の負担を、国民に転嫁する意図」について報道されているようです。

 

 

金利

 

その前提となる国の財政破綻トリガーは金利です。もし国債の買い手がいなくなり値段が下がる(=国債金利が上がる)と,日本の債務についた金利の支払いが膨れ,日本の税収総額を金利の支払いにすべて充てなければならない事態が想定されます。

 

その時,どのように債務を償還するか。銀行預金(=銀行の国民に対する債務)を棒引きにして銀行を守りつつ,銀行が持っている日本国債をチャラにするというのが,政府の破綻と預金封鎖の因果関係です。

 

 

米国

 

米国は,日本に代わる米国債の買い手となった中国を守り、ジャパンリスクから米国を切り離そうとしています。

 

 

預金封鎖が発動されるきっかけ

 

株式や債券、また海外投資などに預金が急速にシフトすることで銀行に取り付け騒ぎが起こるかもしれないし、外銀などが何かのきっかけで日本国債を大量に売り浴びせれば,それが引き金になることもあり得ます。

 

 

袋小路に迷い込んだ財政健全化への道

 

インフレで税収を増やし,財政を健全化することも考えられますが,同時に金利も上がっていき,国債を売って他の資産で運用していくことになれば,国債の暴落が現実的になります。その時に国債金利支払いの負担は非常に重くなり,財政悪化要因となります。

 

インフレにしつつ国債暴落を避けて財政健全化に持っていくのは至難の業のように思われます。まずは社会保障の切り詰めと税収のアップでプライマリーバランスを根本的に直していかないといけないのではないでしょうか。

 

 

また機会を見つけて,資産防衛の方法について考察していきます。