k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

憲法における三段階審査論

はじめに

 

スターバックス憲法??と思いましたが結構良い本です。今回は憲法における三段階審査論についてご紹介します。

 

 

スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える

スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える

 

 

 

 

定義

 

三段階審査とは,違憲審査を三段階に分けて,

まず一段階目で原告が制限されていると主張する利益が憲法上の権利かどうか,それが保護範囲に含まれているかどうか,

二段階目は事案で問題となっている法令や処分が実際にこの保護範囲に含まれている権利を制限しているかどうか,

三段階目は一段階目と二段階目を踏まえ,保護範囲の中核にある権利を直接に制約していたら厳格な審査をするというように,その制限を正当化できるかどうか

をみる,というものです。

 

 

学術的な解説はこちら,

 

三段階審査とは、いわゆる防禦権について、①「保護範囲(領域)」→②「制限(侵害・制約)」→③「正当化」の三段階に区分して、規制の合憲性を段階を追って判断しようとする枠組みである。三段階審査は、必ずしも、政府の行為の合憲性を審査する際に一般的に用いられるべきものとされているものでもなければ、「防禦権について」という限定を付したように、憲法上の「権利」の制約の合憲性を審査する際に一般的に用いられるべきものとされているわけでもない。それでも、憲法上の「権利」の典型を、「国家からの自由」としての「防禦権」として観念する思考をとる場合には、少なくとも、憲法上の「権利」に対する制約の合憲性を判断するためのモデルとして、アメリカに由来する違憲審査基準と比肩しうる地位を持ちうる。違憲審査基準も、違憲審査基準という名称にもかかわらず、政府の行為の合憲性を審査する際に一般的に用いられるべきものとして語られることは稀であり、憲法上の「権利」の典型を、「国家からの自由」として観念する発想を前提にしているからである。
三段階審査において、①「保護範囲(領域)」とは、規制されている行為(=被侵害利益)が憲法上の保障を受けるものなのか、またどの程度の保護を受けるのかを考える作業である。ここで保護の対象になると、今度は、②「制限(侵害・制約)」の段階に進み、規制が憲法上保障された権利を制約しているのか、どの程度制約しているのかを検討することになる。制約を受けているということになると、違憲であるとの一応の推定が働き、最後の③「正当化」の段階に進み、制約が正当化されるかどうかが判断されることになる。ただし、憲法上絶対的に禁止されている「制限」、たとえば、絶対的禁止として「検閲」を理解する説をとる場合、ここで「制限」に該当すれば違憲となることがある。「正当化」の段階は、規制が「法律の留保」を満たしているかどうかという「形成的正当化」と、規制の目的が正当なものかどうか(目的審査)、規制手段が目的に照らして正当といえるか(手段審査)、という「実質的正当化」の2つによって構成される。そして、この手段審査は、比例原則を用いてなされるが、具体的には、①手段が目的達成のために有用か(適合性・合理性)、②手段が目的達成のために必要か(必要性)、③手段により得られる利益は手段によって失われる利益を上回っているか(この③のみをつかまえて「狭義の比例原則」と呼ばれることがある)によってなされる。比例原則を用いる場合の審査密度は、どの程度重要な権利が侵害されているのか、どの程度制約が厳しいものかによって変化する。

 

 

https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/18755/2/hogaku0090300310.pdf

 

 

保護範囲については理解が難しいですが,

 

 

自由権の保護範囲論の大原則ですが、
「自分の財産を使った行為」だけが、保護範囲にはいる、というのが大原則です。

他人の土地を使った宗教活動、
他人の著作権を侵害する表現活動、
他人の建物を(賃借などがないのに)使った営業活動は保護されません。

そして、財産の配分がどうも不自由だ、という問題は
「公共の福祉にしたがった財産法をつくれ」という請求権(29条2項)の問題になります。

そこから先、
基本的には、保障根拠論から保護範囲が定まります。

たとえば、営業活動は、分業社会での人格の発現であり、
一回的・単発的行為(ヤフオクでの販売など)は、
人格との結びつきが弱く保護されない、とか、

国家が人の思想を誰何するのは、
思想弾圧目的以外ではあり得ないから
思想を守るという19条の趣旨から沈黙の自由が保護される

といった感じで、保護範囲を確定します。

 

 

blog.goo.ne.jp

 

 

憲法I  基本権

憲法I 基本権

 

 

 

憲法上の権利(防禦権)の侵害の有無を,まずは原告が主張している具体的な利益が憲法上の条文によって保護されている権利といえるかをまずチェックし,次にそれが公権力により制限されているかということをチェックします。それぞれの段階でその保護の程度,あるいは制限制約の態様等を分析しておいた上で,比例原則により,正当化されるかどうか判断を行います。

 

 

 

民事刑事行政分野との架橋

 

10年以上前,当時からこれを提唱していた学者はいたようだが,自分も学生のころに独自にこのようなことを考え,松井茂記教授(大阪大学ブリティッシュ・コロンビア大学)と少し議論させてもらったことがあるが,考えてみれば法律家として当たり前の考え方で,保護範囲・制限・正当化の枠組みは,刑法でいうと構成要件該当性→違法性阻却の判断をしているのと同じ。一学生の試論に対し,松井教授も当時好意的に受け止めてくださったように記憶している。

 

日本国憲法 第3版

日本国憲法 第3版

 

 

これは一般的な法学のものの考え方で憲法上の権利侵害というものを見直してみようというだけのことです。付随的審査制の下で日常民事刑事行政のあらゆる法律問題に対処している裁判所はもともとこのような考え方で憲法審査に取り組んでいたはず。

 

 

LAW IN CONTEXT 憲法 - 法律問題を読み解く35の事例

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さいごに

 

徹底して判例をベースにした基本書が最近出ております。これは大変オススメできる本です。

 

 

憲法の地図: 条文と判例から学ぶ

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