読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

k's point of view

経営の現場で,サラリーマンとフリーランスの境目にいる者です。旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログです。その他ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介もいろいろ記載していく予定です。最近は映画についての感想も縷々書いています。

新海誠・「言の葉の庭」の感想(ネタバレあり)

このブログの新海誠シリーズ第三弾です。

 

www.kotonohanoniwa.jp

 

 

君の名は。」の一作前の「言の葉の庭」を見た感想も書きたくなってしまいました。

 

www.kiminona.com

 

 

言の葉の庭」,ストーリーは非常にシンプルです。というかむしろ新海監督にとってはこれが普通なのかも。

 

あるミステリアスな女性・雪野と靴職人を目指す男子高校生・孝雄が雨の日に公園で出会い,雨の日だけの逢瀬を重ねていきます。

 

雪野は環境や心の問題で「うまく歩けなくなってしまった」(比喩的な意味で)のですが,孝雄との交流により徐々に回復していく。

 

しかし,孝雄は雪野の「正体」を知って,戸惑い,すれ違い,本気でぶつかる。

 

しかしその本気のぶつかりによって彼女の心が解放され,救われるというお話。

 

フェチ的な要素や12も年の離れた男女の恋愛というややファンタジーな設定に少し入り込みにくいところやもどかしさを感じましたが,テーマは普遍的で,仕事や家庭や人間関係などで,うまくいっていないと感じて悩んでいる人に対する力強いメッセージになっていると思います。

 

少し長くなりますが,最後のシーンの孝雄のセリフが圧巻です。

 

「雪野さんさっきのは忘れてください

俺やっぱりあなたのこと嫌いです 

最初からあなたは

なんだか嫌な人でした

朝っぱらからビール飲んで 

わけのわからない短歌なんか吹っかけてきて

自分のことは何も話さないくせに 

人の話ばっか聞き出して   

俺のこと生徒だって知ってたんですよね 

汚いですよそんなのって    

あんたが教師だって知ってたら

俺は靴のことなんて話さなかった  

どうせ出来っこない 

叶いっこないって思われるから   

どうしてあんたは

そう言わなかったんですか?    

子供の言うことだって

適当に付き合えばいいって思ってた 

俺が、何かに、誰かに憧れたって

そんなの届きっこない

叶うわけないって   

あんたは最初から解ってたんだ 

だったらちゃんと言ってくれよ 

邪魔だって 

ガキは学校に行けって 

俺のこと嫌いだって 

あんたは....  

あんたは一生ずっとそうやって

大事なことは絶対に言わないで   

自分は関係ないって顔して

ずっと独りで生きてくんだ」

 

この15歳の少年の心の叫びは,

(雪野に対する怒りから発せられる,少年特有の青臭さ・誇張・曲解もあると思うですが,)

その裏にある思いはまっすぐで,本当に普遍的なことを言っていて,自分にも身につまされるものがあります。

 

 

大人になり,人間関係がわずらわしくなり,一人を肯定し,寂しさをごまかし,Facebookでは見せかけの友人たちに充実した私生活を見せるように自己のイメージをコントロールし,自分が見ないようにしているものを突き付けられ,胸が苦しくなりました。

 

(こんなことは匿名のブログでしか書けません。)

 

 

自分には妻と子供とほんの少しの友人や父母兄弟がいるので,まずはそれを大切にしつつ,ただ,当たり障りのない表面的な付き合いではなく,もう少し本音の部分でより深いコミュニケーションをとらなければいけないなと思わされました。

 

 

話は少し飛びますが,自分も27歳の時に10歳上の女性とお付き合いしていたことがあり,結婚寸前までいったことがあります。

 

その時は幸せだったのですが,相手の人生の重みにつぶされそうになり,幸福と同時にそれまでに経験したことのない苦しさ,辛さを味わいました。

 

濃密な時間だったと思います。

 

結局遠距離になり,自分の心が離れ,別れを切り出しましたが,あの言う前の憂鬱さや,激しく取り乱す相手を前にして情を断ち切る辛さは他にはありません。

 

永遠に一緒にいられればいいのですが,前に進みたいと思ってしまうと,ダメでした。

 

恋愛によって人は人をひどく傷つけてしまうという現実に,責任をもって人と付き合っていかなければならないと強く思いました。

 

 

ちなみに,この孝雄の心の叫びに対して,雪野は,一瞬たじろぎますが,孝雄にしがみつき,咆哮し,激しく哭きます。

 

声優のこの叫び声がとてもいいです。いろんな感情が一挙に溢れ出した雪野をすごくよく表せているなと思います。

 

でも結局結ばれない二人。新海監督,切なすぎます。