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k's point of view

経営の現場で,サラリーマンとフリーランスの境目にいる者です。旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログです。その他ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介もいろいろ記載していく予定です。最近は映画についての感想も縷々書いています。

司法試験 平成28年度 公法系第1問(憲法)/性犯罪者のGPS監視と行動範囲制限

新司法試験 司法試験 憲法 法律 公法

※ β版です。世間の流れに逆らって平等権で構成しています。

 

【問題】

http://www.moj.go.jp/content/001182600.pdf

 

 

【問題の整理】

私生活上の自由,行動の自由で分割すると本件の本質が見えない。人権侵害の度合いが個々別々では正確に捉えられない。一旦再犯可能性が高いと認定されてしまうと長期間,生活の制限やプライバシーの制限やstigmaを背負わされるという,公権力による区別が本質。
性犯罪者の地位と結びつけられた種々の法的効果により,一般人と比べていろいろと権利が制限されることが問題。
私生活上の自由はそれとして取り出して論ずる意味はあるが,平等権侵害の手段審査で論じきるのが合理的。
行動の自由は,一般人が立入禁止をくらうのも憲法問題かというと,言えないと思うので,これは平等権でこそ意味が出てくるもの。

 

 

【答案構成】

 

平等権がメイン

 

1. 区別
犯罪歴のない人との区別
性犯罪以外の犯罪歴ある人との区別

 

2. 不利益内容
埋込チップによる身体への侵襲
劣等の烙印
監視及びその威嚇効果による行動の萎縮・不安
警告による地域生活活動の制限
違反者に対する刑罰

 

3. 後段列挙事由該当性
不該当
ただし,偏見の対象となりやすいので,慎重な検討が必要

4. 合理的根拠の有無(目的・関連性・相当性)
目的    性犯罪の再犯予防・安心・更生
関連性   なぜ性犯罪を狙い撃ち 再犯率に違いはない
相当性   期間が長期にわたる可能性あり
              私生活上の自由の大幅な制限
              身体への侵襲を伴う社会的に不相当な手段
              情報が犯罪捜査一般に使われる可能性
              他の情報と組み合わせて思想の把握に利用させる可能性
              チップの埋め込みを特別な器具で近隣住民に見破られる可能性
              再犯可能性を決めつけることへの不合理
→関連性がなく,不相当な規制態様で,実質は性犯罪者への嫌悪感に基づき議員が多数決で,少数者である性犯罪者の社会からの排除という偏見に基づく差別を目的としていることが濃厚で違憲。個人の人格の根源的平等(14条)に反し,個人の尊重原理(13条)にも反する。
※ 相当性は検討しない判例も多いが,尊属殺違憲判決は刑罰の重さの程度で違憲の結論を導いており,相当性を問題に据えている。また,平等選挙の判例も相当性を問題に据えている。

 

5. その他
指紋押捺制度に関する判例早稲田大学判例で,GPSの点
居住・移転の自由で,警告・立入禁止の点

 

 

【備考   どのような規制なら許されるか】


期間が短いこと
GPSチップは埋め込まないこと
犯罪歴が周囲からわかる態様はいかなるものも許されない(昔の入れ墨)
GPS監視は場所を限定すること
GPS情報の利用の制限については個人情報保護法に則り,正しく運用
警告・立入禁止は直近の行動から具体的危険が認められればOK
裁判所の許可を取っての警告発令が望ましい
警告に対する不服申立制度は必要