k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

司法試験

【憲法】内容規制と内容中立規制(旧司法試験 憲法 平成3年度第1問)

【問題】 「市の繁華街に国政に関する講演会の立て看板を掲示した行為が、屋外広告物法及びそれに基づく条例に違反するとして有罪とされても、表現内容に関わらないこの種の規制は、立法目的が正当で立法目的と規制手段との間に合理的な関連性があれば違憲で…

【憲法】政教分離(旧司法試験 憲法 平成4年度第1問)

【問題】 A市は、市営汚水処理場建設について地元住民の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭りを通じて鎮守様として親しまれ、地元住民多数が氏子となっている神社(宗教法人)境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、工事…

【憲法】積極目的規制(旧司法試験 憲法 昭和60年度第1問)

【問題】 国会は、国際的競争力の弱いある産業を保護しその健全な発展を図るため、外国からの輸入を規制し、その生産物の価格の安定を図る措置を講ずる法律を制定した。 A会社は、その生産物を原料として商品を製造しているところ、右の法律による規制措置…

【憲法】議員の発言と免責特権(旧司法試験 憲法 平成6年度第2問)

【問題】 国会議員が院内で人の名誉を侵害する発言をした場合、民事上、刑事上の責任を問われるか。 また、所属議院において、右発言を理由に除名の決議がなされた場合、当該議員はその決議の効力を訴訟で争うことができるか。地方議会の議員の場合と対比し…

最高裁のリベラルな勢力 労働基本権の判例

公務員の労働基本権に関する諸判例は,日本の憲法史を考える上でも重要とされる。 当初,公務員の労働組合が争議行為を行うことを事実上可能にするようなものではないか,ということで最高裁の中でリベラルな勢力があるのではないかと当時の政権が考え,人事…

司法試験過去問・憲法・平成22年・生存権及び選挙権と住所

司法試験過去問 憲法 平成22年 [公法系科目] 〔第1問〕(配点:100) 市町村長は,個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して,住民基本台帳を作成しなければならない【参考資料1】。生活の本拠である住所(民法第22条参照)の有無によって,権…

司法試験過去問・憲法・平成21年度・遺伝子治療研究

[公法系科目](平成21年度) 〔第1問〕(配点:100) 遺伝子は,細胞を作るためのタンパク質の設計図である。人間には約2万5000個の遺伝子があると推測されている。遺伝情報は,子孫に受け継がれ得る情報で,個人の遺伝的特質及び体質を示すも…

司法試験過去問解析・憲法・平成27年度

【平成27年度新司法試験 公法系第1問〔憲法〕】 20XX年,A市において,我が国がほぼ全面的に輸入に頼っている石油や石炭の代替となり得る新たな天然ガス資源Yが大量に埋蔵されていることが判明し,民間企業による採掘事業計画が持ち上がった。その…

法科大学院ランキングで44444アクセス!

新年二発目も運営報告ですみません。 合計44444アクセスに到達しました。 いつもこのブログを訪ねてくださっている皆様に御礼申し上げます。 法科大学院ランキングのコンテンツから一気にアクセス数が伸びました。最近は1日50件程度はPVをいただけるようにな…

スポーツという競争システムと司法試験

年の瀬なので,少し心に残していただけるような,じっくりした話を一つ。 世間では,オリンピックが盛り上がっています。自分も,斜に構えているのではなく,スポーツは大好きなので,自分なりに楽しんで見ています。 ただ,スポーツを美化しすぎることは戒…

【租税法】司法試験過去問検討① サンプル問題・第1問

新司法試験 サンプル 選択科目 租税法 第1問 AとBは,夫婦で飲食店(ポップ&モム)を経営している。店舗の敷地の所有権や食品衛生法の許可などの名義は,夫Aとなっていたが,材料の仕入れについては,その時々の状況により,それぞれの名義A,Bを用いて取…

改正民法で司法試験を考える⑤ 瑕疵担保責任

本連載は,改正民法をベースに司法試験の問題を再検証することによって,改正民法の理解を深めるためのものです。第5回。瑕疵担保責任など。 平成5年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題 【民法・第2問】 A社は、B社に対し、実験用マウス30匹を売り渡…

改正民法で司法試験を考える④ 契約の個数,多数当事者の債務,共有

本連載は,改正民法をベースに司法試験の問題を再検証することによって,改正民法の理解を深めるためのものです。第4回。契約の個数,多数当事者の債務,共有。 平成3年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題 【民法・第2問】 A、B及びCは、共同してD…

改正民法で司法試験を考える③ 贈与,盗品の即時取得,履行補助者の過失

本連載は,改正民法をベースに司法試験の問題を再検証することによって,改正民法の理解を深めるためのものです。第3回。贈与,盗品の即時取得,履行補助者の過失。 平成元年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題 【民法・第1問】 Aは、Bに対し、自己の所…

改正民法で司法試験を考える② 差押え,解除,債権譲渡

本連載は,改正民法をベースに司法試験の問題を再検証することによって,改正民法の理解を深めるためのものです。第2回。差押え,解除,債権譲渡。 平成20年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題 【民法】 Aは,工作機械(以下「本件機械」という。)を…

改正民法で司法試験を考える① 詐害行使取消権

本シリーズは,改正民法で司法試験の問題を解いてみて,改正民法についての考察を深めるためのものです。第1回。詐害行為取消権,解除。 旧司法試験昭和63年度第2問 AB間でA所有の不動産をBに3000万円で売却する旨の契約が成立し、内金2000万円の支払後、残代…

刑事訴訟法⑪ 伝聞法則

伝聞法則 概念図 事実(F) → 供述者(W) → 供述(N) 知覚 記憶 表現 ←推認 ←推認 ←推認 見間違い / 記憶の混乱・減退 / 言語使用上の不明確・不誠実 = 「伝聞の危険」 伝聞法則は,供述過程に介在する誤謬の危険を勘案して,正確な事実認定に資することを目的と…

刑事訴訟法⑩ 訴因を軸にした訴訟追行の法的規制

訴因を軸にした訴訟追行の法的規制 訴因は,構成要件に該当する具体的な事実の記載であり,できる限り日時・場所・方法を持って特定し明示しなければならない(法256Ⅲ参照)。それは当事者である検察官が審理判決を請求する犯罪事実の主張である。当事者主義訴…

刑事訴訟法⑨ おとり捜査

おとり捜査 ①捜査機関またはその依頼を受けた者が,②その身分や意図を相手方に秘して,犯罪を実行するように働きかけ,③対象者が犯罪の実行に着手したところで現行犯逮捕等により検挙する手法。 <事例1> 警察官は,Xがかねてから覚せい剤の密売を繰り返し…

刑事訴訟法⑧ 逮捕に伴う令状を必要としない強制処分

逮捕に伴う令状を必要としない強制処分 Ⅰ 逮捕の現場における令状を必要としない強制処分 第1は「逮捕の現場」には,逮捕被疑事実に関連する証拠が存在する蓋然性が一般的に高いと考えられることそれ自体を根拠として,裁判官による「正当な理由」の審査を行…

刑事訴訟法⑦ 人の身体を対象とする強制処分

人の身体を対象とする強制処分 Ⅰ 人の身体を対象とする処分の諸類型(身体の捜索) 捜査機関は証拠物等を探索発見するために人の身体を対象として捜索を行うことができる(法102・222Ⅰ・218Ⅰ前段)。人は着衣内等に物を隠匿することができるので,特定の人物の…

刑事訴訟法⑥ 捜索・差押え

捜索・差押え Ⅰ 捜索・差押えと令状主義 憲法35条1項にいう「正当な理由」とは,第1に捜査対象とされている具体的な犯罪事実が存在する蓋然性すなわち犯罪の嫌疑(法218Ⅰ・規155Ⅰ④参照),第2にそのような犯罪に関連する特定の証拠物または没収すべき物(法222…

刑事訴訟法⑤ 逮捕・勾留

身柄拘束処分 Ⅰ 逮捕前置主義 逮捕前置の趣旨は,短時間の拘束の後,勾留請求段階で身柄拘束継続の理由と必要性を速やかに勾留裁判官の慎重な審査に付すことにある。また,検察官が被疑者の身柄拘束継続を求めるかどうかを検討し,勾留請求をしないことによ…

刑事訴訟法④ 供述証拠の収集保全

供述証拠の収集保全 Ⅰ 供述証拠の収集保全に関する法的規律 1. 取調受忍義務について 逮捕・勾留によって人身の自由という最も根源的な基本権を侵害された被疑者に対して,捜査機関の取調べを受忍する義務(取調受忍義務)を課すと,すなわち被疑者の「自己負…

刑事訴訟法③ 行政警察活動と捜査の隣接領域

行政警察活動と捜査の隣接領域 「行政警察」に分類される警察官の活動は,その目的の内容が「犯罪の予防,鎮圧」や「交通の取締」(警察2Ⅰ参照)などである。具体的な犯罪事実の解明を通じて公訴提起の準備を行うことを目的とする「司法警察」活動とは区別さ…

刑事訴訟法② 任意捜査の規制の枠組み

任意捜査の規制の枠組み Ⅰ 強制捜査と任意捜査 刑訴法は「捜査については,その目的を達成するため必要な取調べをすることができる」(197Ⅰ本)と定め,捜査機関に「任意捜査」の権限を付与している。任意捜査とは,捜査機関限りの判断と裁量により実行可能…

刑事訴訟法① 強制処分法定主義/令状主義

強制処分法定主義/令状主義 Ⅰ 強制処分法定主義 強制処分法定主義(法197Ⅰ但)は,国民の重要な権利を侵害する「強制の処分」については,処分の内容・要件・手続があらかじめ法定されていなければならないという,憲法31条の手続法定主義を受けた準則である。…

【憲法】表現の自由⑥ 新聞業界の保護と表現の自由の関係

【問題】 新聞の発行部数の上で,大手全国紙数紙が市場を寡占している現状を踏まえて,次のような内容を有する「新聞法」が制定されたとする。A,B各条の合憲性を比較しつつ述べよ。 A条 新聞メディアが伝える情報内容が過度に商業ベースになるのを防ぐため…

【憲法】表現の自由⑤ 規制類型論

一般に、表現の自由の規制については表現内容規制と、表現内容中立規制が言われる。 表現内容規制一般について考える際には、2通りの審査のやり方がある。1つは「定義付け衡量」で、憲法上保護される表現とそうでないものとをしっかり分ける、という形。例…

【憲法】表現の自由④ 小説とプライバシー

【問題】 芸能人Xは某新興宗教の熱心な信者である。そのことを秘して芸能活動を行っていた。ところがたまたまXの信仰を聞き及んだ小説家Yは,Xの生き様がかねてから自分が温めていた人物像に極めて近いと感じ,Xの個人情報を徹底的に集めた上で,それに基づ…