k's point of view

経営を本業とし,その現場で毎日活動しています。このブログは,旧司法試験の問題を中心に,新たに実務的視点で考えてみるブログでしたが,最近は,ビジネス関連の雑考や法律・ビジネス関連の書籍紹介の記事が多くなっています。

フリースタイルダンジョンUZIの大麻使用について

フリースタイルダンジョン!!!

toyokeizai.net

 

大麻取締法違反の疑いで逮捕されたのは、ヒップホップミュージシャンのUZIこと許斐氏大容疑者。厚生労働省麻薬取締部によると、許斐容疑者は15日、東京・目黒区の自宅で、乾燥大麻を所持した疑いが持たれている。自宅からは乾燥大麻約600グラムとパイプなどが押収されている。

 

そういえば以前にも,大麻事犯があった。一つは智頭町,一つは石垣島の事件。

 

石垣島の事件の方は,一人の女性が大麻推進を主張の核として選挙に出ていたのが記憶に新しい。

 

www.huffingtonpost.jp

 

この主張は「この健康食品は体にいいから推進しましょう!!!」というようなもので,非常に矮小な,政治的主張とは到底いえないものである。

 

※なお,別に現在医療用大麻の合法化の主張をすること自体は個人の表現の自由であり,全く問題ない。あくまでも民主制を支える政治的表現の重みの話。 

↓ これは全く問題視していません。

twitter.com

 

 

さて,ここであまりだれも言わないのが憲法上の幸福追求権としての「ライフスタイルの自由」の可能性。

 

J.S,ミル 「侵害原理」

 

ー その原理とはこうだ。人間が個人としてではあれ、集団としてであれ、誰の行動の自由に干渉するのが正当だといえるのは、自衛を目的とする場合だけであ る。文明社会で個人に対して力を行使するのが正当だといえるのはただひとつ、他人に危害が及ぶのを防ぐことを目的とする場合だけである

 

危害原理・危害原則:The Harm Principle The J.S. Mill's -

 

 

政治的主義にまで昇華するとすれば

大麻は健康上無害,他人にも迷惑をかけない(二重の意味でHarmless)にもかかわらず,禁止するのはリベラリズムの観点から問題で,現状では違憲状態である。他にもいろいろ国が理由なく制約している個人のライフスタイルにかかわる権利があり,私はこれらを一つ一つ点検していき,より自由な個人の確立に微力ながら貢献したい。そのきっかけとなるのがカナダやアメリカや欧州の一部で解禁が進んでいる大麻である」

などと主張すればもっとマシにはなったと思われる。

大麻が健康上無害かどうかは論争になっているが

 (私の主義主張ではありません。論理的可能性の話です。)

 

 

結局主張する側も覚悟がなく,「哲学なき主張」に陥ったものだと思う。

そういうところに厭世的な気質や,個人の為と社会の為をすり替える欺瞞が,私には見て取れた。

 

ー日本の民主制のレベルアップのための意見ということでご理解ください。

 

 

【参考書籍】

憲法学にイノベーションを起こした天才,阪本教授の本。

リベラリズム/デモクラシー

リベラリズム/デモクラシー

 

 

 

人生の本質

人の行動は,まず本能,次が好き嫌いで,最後が良し悪しだと思う。


生活に余裕ができて社会にもまれないと社会全体のことは考えられない。

 


今,社会に不満を持って悩んでいる人は,まずシニカルに,世の中の現実を理解する必要がある。「自分や家族の満足を追求することで精一杯の人」が,自分の思った以上に多いということに。

 

全体最適なんて結構多くの人が心の中ではどうでもいいと思っている。決して口には出さないけれど。家族を持つ身になり,会社の経営をしたりしてよくわかった。

 

自分の会社が良くなるかどうかや,アメリカの大統領が誰になるかや,日本の借金が増え続けていて将来の世代がどうなるかなど,中東で戦争が起こるかどうかなど,心底どうでもいいと思っている人が,かなりいる。

 

それよりも,野菜が安いか,今の自分の生活が楽しいかどうか。または,充実してると見られるかどうか。

 

人のものの見方は生い立ちや素質や能力によって形成されていくもの。

 

 

一人ひとり自分にとっては重要な人生を送っている。他人のことはなかなか考えられない。

 

しかし,それで社会が成り立っているし,世界は,日本は豊かになっている。

 

その中でもがいていくだけなのが本質なのではないだろうか。

 

【憲法】内容規制と内容中立規制(旧司法試験 憲法 平成3年度第1問)

【問題】

「市の繁華街に国政に関する講演会の立て看板を掲示した行為が、屋外広告物法及びそれに基づく条例に違反するとして有罪とされても、表現内容に関わらないこの種の規制は、立法目的が正当で立法目的と規制手段との間に合理的な関連性があれば違憲ではない。」との見解について論評せよ。

なお、「小中学校の周辺では扇情的な公告物の掲示はできない。」との規制の当否についても論ぜよ。

 

 

【問題点の整理】

猿払事件最高裁判決を使って考えてみました。

 

 

【回答】

1.設問前段

【「表現内容に関わらない規制」といえか】いえる(=「間接的付随的規制」)。ただし、学説の内容中立規制とは異なる。

 

【そのときの審査基準は】①目的が正当、②目的と手段に合理的関連性がある、③得られる利益と失われる利益を比較して後者が勝っていない、場合に合憲となる(猿払事件判決同旨)。

上記①と②で規制に名を借りて公権力に不都合な表現を狙い撃ち的に処罰していないことを確認することができるが、それだけでは足りず、仮に目的が正当で妥当な手段であったとしても、規制される表現の側の価値が、規制によって達成しようとした価値を上回っている場合には、やはり表現行為に対して特別に保護を与えるべき。そのように解さないと単に正当な目的と言えるだけで何でも合憲になり、秤の反対側に載せるべき人権の価値がこの①②の基準の中では正当に考慮できない。

設問前段は基準が不十分。なお、目的が正当、手段が合理的という言い方は合理性の基準として学説からは批判されているが、必ずしも審査基準というロジックを判例は採用しているわけではない。上記のとおり、公権力に不都合な表現を狙い撃ちしているかどうかを判別することがこの①②の基準の機能であり、目的がやむにやまれないなど基準を上げると、③との関連で無用な重複が生ずる。学説の厳格審査基準の趣旨は③の適用の仕方を考える上で参考にすべきと考える。〔かなり特殊な考え方ではあります。〕

 

【本件の当てはめ】美観の維持という目的は明らかで①②OKとしても、③政治的言論という民主制の前提条件となる価値の高い表現であり、また、掲示場所も市の繁華街というパブリックフォーラムであることから、屋外広告物法及び条例の解釈適用上、当該行為者の行為は、憲法21条の趣旨から、刑法上の「正当行為」に該当し、違法性が阻却されるものと考えるべきである。よって有罪処罰は違憲違法(法令の解釈運用を誤った適用違憲)。

 

2.設問後段

【「表現内容に関わらない規制」といえるか】いえない。「扇情的」の文言により、その構成要件該当性の判断が、表現内容を公権力が審査した上で規制することになるため。当該場合は公権力が表現内容を選別して特定の価値観を押し付ける危険があるため、憲法上の価値考量上、慎重に規制により得られる利益と失われる利益を比較する必要がある(下記③)。

 

【そのときの審査基準は】①目的が正当、②目的と手段に合理的関連性がある、③得られる利益と失われる利益を比較して明らかに後者が優越している(他者の人権を具体的に害する明白かつ現在の危険があるなど)。

 

【当てはめ】①②に照らしても本件は扇情的という広い文言は過剰包摂で合理的関連がない。この場合は、子供の健全な成長に名を借りて多数派が不快に感じる表現をとにかく規制したいという趣旨が見える。
また、③に関しても、子供の健全な成長は人権としての子供の成長発達権(憲法23条の趣旨)から引き出される余地があるものの、扇情的な表現によりその人権が明白にかつ現在,侵害されるとまではいえない。

よって、法令違憲の規定であり、当該法律又は条令に基づく処罰も違憲違法。

 

 

憲法解釈の法理 香城敏麿著作集 (1)

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憲法判例百選1 第6版 (別冊ジュリスト 217)

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【憲法】政教分離(旧司法試験 憲法 平成4年度第1問)

【問題】

A市は、市営汚水処理場建設について地元住民の理解を得るために、建設予定地区にあって、四季の祭りを通じて鎮守様として親しまれ、地元住民多数が氏子となっている神社(宗教法人)境内の社殿に通じる未舗装の参道を、2倍に拡幅して舗装し、工事費用として100万円を支出した。この神社の社殿に隣接する社務所は、平素から地区住民の集会場としても使用されていた。A市の右の措置について、憲法上の問題点を挙げて論ぜよ。

 

【問題の整理】

・利益供与的
神道信者達の宗教的感情を刺激し満足させるような施策
・境内の参道の拡幅と舗装→私有地内、神道宗教法人(特定の宗教団体)への利益供与
・一方、社務所は公共用物的側面も果たしていた。

公金支出の違法性

政教分離原則違反

憲法第89条 公金は、宗教上の組織の使用、便益若しくは維持のためこれを支出してはならない。

(趣旨) 戦前、神社神道が国教として優遇された結果、他の宗教(キリスト教など)が弾圧され、信教の自由が妨げられたこと、及び、その教義が国家主義軍国主義の精神的支柱となって政治部門による国民支配の道具となり、悲惨な戦争をもたらしたことの反省から、公金支出や宗教教育等あらゆる側面から、国家・地方公共団体と宗教団体や特定の宗教との分離が図られている。

論点
今回の支出は宗教上の組織の使用、便益若しくは維持のための支出かどうか

その他 
憲法第20条 特権付与や祝典・儀式や宗教教育・宗教的活動とまではいえないので、今回の事案には適さない。

 

 【回答】

法的構造

1.政教分離原則 

  構成要件 「宗教団体」に対する「公金の支出」

  あてはめ 神道宗教法人=宗教団体 その私有地内の未舗装の参道を市の金で幅二倍、舗装の道路にしており、これは「公金の支出」にあたると言わざるを得ない。

 

2.公共の福祉からの調整

①    正当な国家目的達成のため

②    必要最小限殿手段であり、かつ、

③    得られる利益と失われる利益が均衡している

場合には、公共の福祉(憲法12条、13条)の観点から、例外的に許容される(この場合は、「特定の宗教を援助・助長・促進又は圧迫・干渉する場合に該当しない」と言い換えることもできる。)。

ex. 宗教的弱者の保護(アイヌの土着信仰)や、文化財・観光資源保護目的(伊勢神宮縄文杉

(あてはめ)

①    市営汚水処理場建設について地元住民の理解を得るためであり、それ自体は正当な国家目的達成のためといえる

②    100万円という金額は合理的な範囲内であり、政治の裁量の範囲内のため、必要最小限度といえる

③    信者らの信仰に便宜を図り、歓心を買うためになされた行為と解され、特定の宗教と市がつながっているようなシンボリックな意味合いがあり、それが国家と宗教の強固なつながりに至る危険には十分留意すべきだが、神道信者以外も使用すると見られる集会場としても使用されている社務所の利用の利便向上を図るという側面も並存していることから、宗教的色彩はかなり緩和されている。地元住民に便宜を与え、”not in my backyard”で誰もが嫌がる汚水処理場施設の場所を確保することを達成することができるのであれば、まだ得られる利益が失われる利益を上回っていると言うべき。

 

3.結論

以上より、Aの行為を総合的に判断すると、特定の宗教を援助・助長・促進又は圧迫・干渉する場合に該当するとは言えず、国家と宗教の係わり合いとして相当とされる限度を超えているとはいえないので、政教分離原則に反せず、違憲違法ではない。原告の請求には理由がない。

【憲法】積極目的規制(旧司法試験 憲法 昭和60年度第1問)

【問題】

国会は、国際的競争力の弱いある産業を保護しその健全な発展を図るため、外国からの輸入を規制し、その生産物の価格の安定を図る措置を講ずる法律を制定した。

A会社は、その生産物を原料として商品を製造しているところ、右の法律による規制措置のため外国から自由に安く輸入できず、コスト高による収益の著しい低下に見舞われた。

A会社は、右立法行為は憲法に違反すると主張し、国を相手に損害賠償を求める訴えを提起した。

右の訴えに含まれる憲法上の問題点

 

【問題点の整理】

Aのどんな権利が侵害されているか。

法律の内容はAの憲法上の権利を侵害し憲法に違反するか。

法律の内容が憲法に違反する場合、立法行為そのものが国賠法上違法となるか。

 

 

 

憲法 (新法学ライブラリ)

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司法試験論文本試験過去問 憲法

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憲法解釈演習(人権・統治機構)【第2版】

憲法解釈演習(人権・統治機構)【第2版】

 

 

【回答】

 

1.Aのどんな権利が侵害されているか。

Aの営業の自由を侵害している。

A会社は特定の生産物を原料として商品を製造し、ビジネスを成り立たせている。それに基づいて事業計画を立て、資金を借り入れ経営を行っているものであり、本問法律によりビジネスが立ち行かなくなる可能性が顕著に認められる。

財産権憲法29条1項 規制二分論が当てはまらない) 代表的判例 森林法(個人・単独・所有権)

営業の自由(憲法27条、29条1項 規制二分論が当てはまる) 代表的判例 小売小事件(大規模小売店の営業許可)

輸入は所有権の取得の場面であり、既に有している所有権を事後的に剥奪するものではない。他方、取引における予測可能性という側面では、営業権(財産権)の規制に近いと見ることもできる。

営業の自由は財産権の行使も含まれており、本件は営業の自由に含まれると解する(西陣ネクタイ事件判例同旨) 。

規制目的の積極・消去の区別、個人の人権の重要度、侵害の強度、規制目的の重要性、規制の態様を考慮して合憲性を判断する。

 

2.法律の内容はAの憲法上の権利を侵害し憲法に違反するか。

憲法に違反しない。

まず、特定の思想との関連がある人権ではなく、社会的相互関連性の強い経済的規制であり、厳格な審査基準は該当しない。

立法者は「国際的競争力の弱いある産業を保護」する目的を掲げており、当然、A会社のようなところが何らかの不利益を被ることを織り込んで立法をしている。民主制のプロセスが正常に機能している場面である。

このような場合は、立法者の判断を尊重し、合憲性の推定が働き、目的が不合理、手段が不当、得られる利益に比して失われる利益が大きすぎる、のいずれかが明白な場合に限り、違憲となる(明白の原則)。 目的は合理的(目的の認定は立法者が掲げたものに依拠すべき)。手段も外国品との価格競争にさらされて危機に瀕している産業の保護のために輸入制限して、国内での価格低下を予防するというものであり、適切にフィットしている。得られる利益は特定産業全体の保護であり、失われる利益は特定の輸入品を原料に製品を製造する業者であり、そのBenefit/Cost比較は、高度なCaluculationが必要で、官僚機構(本件で言えば経済産業省農林水産省法務省)及び国会(多元的利益の代表者の討議の場)にゆだねられるべき性質の事項である。特定の立法により1社や2社倒産したというところで当該立法が違憲の謗りを免れないとなれば明らかに行き過ぎであり、このような場面では、立法者も予測しなかったような極めて大規模な損害が発生しているという特別の事情が立証されない限り、「得られる利益に比して失われる利益が大きすぎる」ことが明白であるとは言えない。本問ではそのような事情はないと言わざるをえない。

以上から、本問法律は合憲である。

 

3.法律の内容が憲法に違反する場合、立法行為そのものが国賠法上違法となるか。

法律の内容が憲法に違反する場合でも、立法行為そのものが国賠法上違法となることは原則としてない。

また、国賠法上違法とされたとしても、①過失の認定をどうするか(相当に高度な注意義務を課されていると解さないと過失を認定できる場合が容易に思い浮かばない。)や、②因果関係の認定(損害の発生までには、市場というファクターや第三者の行為や自然環境要因など、因果関係が遠く直接の損害の原因が別にあったり、当該立法行為と重畳的になっている場合が多いと思われる。)や、③損害の認定(例えば慰謝料などは、害意や差別的意図がない限り認められないであろう。)の諸点において立証上問題があるものと思われる。

基本的には、違法とまではいえなくとも実情に合っていなかったり、利益考量に再考の余地がある立法は、代表民主制の政治プロセスの中で是正されていくようにすることが、長期的視点に立った民主制の健全な運営のためには望ましいというのが、裁判所の独立を認め、政治と一定の距離を置くようにし党派的になるのを防止している憲法の趣旨及び明白の原則を認める判例の背後にある考え方だと思われる。